ゆざえのDiery'sぶろぐ

想像の森。 表現の駅。 幻想の家。

Dead Bird ー全ての死と悪の母体ー

※『性風俗産業の市場規模は推計2.3兆~3.6兆円ほど、化粧品(2.5兆円)や酒類(3.6兆円)市場と同程度で、2015~2017年の推計では性風俗の店舗数は全国に1万1500~1万3000店で、これは大手コンビニ「ローソン」と同じくらいの規模である。』










殺したい人の数だけ死んでゆく。
この世界では,僕が殺したい人の数だけ死んでゆく。




Raw飱というコンビニエンスストアで新商品が売り出される。
商品名は"dead bird"
人間という生物の雌は何よりも美味しいという謳い文句と共に大量生産され始めたのは,紀元前5世紀以前からで、誰も憶えていない。
俺は良い商品を想い着いたなぁ。
君は可愛い。君はきっと売れる。君のクローンたちが毎日大量に俺のコンビニエンスストアに運ばれて来るのは,君の創造者は俺だからだよ。知ってた?アハハ。君は利口だ。それくらい分かるだろう。君はただ胸をはだけて股を開いて黙ってたら良いんだ。君はdead birdという商品だ。何も考えなくて良い。君を買う者は君にこう言う。さあ、君を存分に味わわせてくれ。税込550円も君を買う為に僕は支払ったんだ。僕の脳内に快楽物質が垂れ流し続けるほどの快楽を味わわせてくれ。返品されたいのか?されたくないならば上半身を裸にして、乳首をいやらしく触れ。なんだその無表情は?お前はdead birdという商品名だからって、そう死んだ鳥らしくする必要はないさ。嗚呼,そうだ!喘げ!叫べ!絶頂に達する断末魔を俺に聴かせろ!俺のこの肉なる剣でお前の肛門から口腔まで串刺しにしてやる。嗚呼、君は素晴らしい商品だ。君を作ったのは俺だ。これでまた一儲けできる。君が飽きられるまで,君は売れ続けるだろう。君は美しい。君は二度と、大空を羽ばたく日は来ない。君は忘れられる。消費者たちが君を味わい尽くした後、誰もが,君を忘れる。何も恐れなくて良い。君は人間の雌という生物だが,死んでるも同然だ。君たちが妊娠したら,胎児は取り除かれ,その死体は、国立遺伝学研究所へ運ばれ,腎細胞は人間の人口数のバランスを取る為の殺人兵器として活用される。人間はそれらを人工添加物やワクチンなどで体内に摂取し,免疫力を失って早くに死ぬ。君はその殺人兵器の母、人間の死の母体。できれば永久的に存在させたいが、人間という愚かな生き物は飽きやすい。人肉が飽きたら豚肉、豚肉が飽きたら牛肉,牛肉が飽きたら鶏肉、鹿,馬,羊,七面鳥,カンガルー,犬,猫,山羊。彼らは本当に野蛮で,見境がない。俺たちはその点,人間しか食べない。人間しか美味しくないのでね。君たちも性のすべてを搾取されたのちに生きたまま解体され,殺されて食べられる。人間が行い続けていることだ。君たちはそのカルマを精算しなくてはならない。君たちは犠牲者であり、神の生贄だが、同時に大罪を犯し続けてきた罪人、最も悪なる生命の拷問地獄をどの存在よりも最初に強制させた者。君は憶えている。君は,全ての悪の母。
その時,コンビニエンスストアの自動ドアが開き,一人の若い男が入って来てレジカウンターの前に立ってすかさずジャケットの内側から拳銃を取り出し店員の男の額に銃口を突き付けて言う。
「彼女を渡せ。」
店員はニヤニヤした顔で応える。
「お客様,大変申し訳ございませんがこちらはダミー(サンプル)で生きておりません。ええ、人形と変わりありません。お客様の性的欲望を満足させることはできないでしょう。奥の部屋に,生きている本物の商品がありますから、少々お待ち下さい。それをわたくしが今すぐに御用意致しますから。」
若い男はレジカウンターの横に置いてある椅子に静かに座っているdead birdの頬に震える左手を,伸ばし,それに触れる。
そして低く,途切れ途切れに言う。
「これの…何処が…生きていないんだ。」
店員はアンドロイドのように機械的な口調で応える。
「冷たい鶏の死体を揚げたあとのチキンナゲットは温かいですが、それは生きていません。それと同じですよお客様。」
若い男はdead birdに向かって言う。
「君はそれで良いのか…?良いはずなんてないだろう…。」
店員はdead birdに向かって言う。
「さあお客様に見本をお見せなさい。」
するとdead birdは着ている白いワンピースの胸のボタンをすべて外し、開こうとした瞬間,若い男は店員の額を撃ち抜く。
肉片がdead birdの腹に飛び散って落ちる。
若い男はdead birdの右手を引っ張り、レジカウンターの上に乗せようとする。
店員の肉片は早くも崩壊して自己融解し、dead birdの臍の穴から入り,子宮の奥へと侵食し、全ての筋繊維と心臓と脳へと達しようとしている。
店員はすべての霊魂を破壊して永久消滅させるパラサイトのオーバーソウルだったからである。
若い男はレジカウンターを飛び越えdead birdを抱き上げると走って店の外に出る。
目の前の紫のネオンライトが反射するコールタールの道路にタクシーが停まる。
若い男はdead birdを抱えて乗り込む。
タクシーの運転手の小柄な男は振り返らずに言う。
「このタクシーはより良い地獄か、より悪い地獄にしか止まりませんが,良いですか。」
若い男は即答する。
「Sure.」
道の先は二股に分かれている。
若い男は抱いているdead birdの身体がどんどん小さくなって少女化していることに気づく。
早く…早く決めなくては…右か左…。彼女(dead bird)の子宮か…拷問処刑場…。
若い男が迷っているとdead birdの肛門から出てきた白い蛇状の虹色に光る太いハリガネムシのような寄生虫が彼女の口腔へと全身をくねらせながら入り込んでゆく。
彼女の虹彩が虹色にスパークする。
どうやら今,彼女の体内でそれはウロボロス状に繋がって一つの輪となったようだ。
若い男は全身から脂汗を垂らし,まだ迷っている。
苦痛からなのか、快楽からなのか,dead birdは全身を激しく痙攣させ、右手の人差し指で右の道を指し示す。
若い男はdead birdを強く抱き締め、タクシーの運転手に告げる。
「右だ。右に行ってくれ。」
タクシーは静かに発車すると夜の暗闇のなかを走り続ける。
若い男はdead birdの口腔と肛門を外界と内界で繋ぐ虹色に光る白蛇のような寄生虫の硬いクチクラの表皮を優しく撫で、囁くように語り掛ける。
「もうすぐお前は終る。すべての悪。すべての悪の母。すべての死と悪。お前を僕が,終らせる。必ず。」
若い男は,気付けば眠っている。
タクシーの運転手の声で目が醒める。
「お客様、真に残念なことですが,お客様が選んだ道は確かにより悪い地獄へと続く道です。しかし、一つだけ,逃れる方法がありますよ。」
若い男はdead birdの姿を見ると彼女はちょうど9歳頃の姿となっている。
寄生虫は彼女の体内に隠れているようだ。
「それは…それはどんな方法だ。教えてくれ…。」
若い男は両手で顔を覆い,涙を流しながら言うと、タクシーの運転手は気味の悪い顔で振り向き、酷い腐敗臭の息を吐きながら言う。
「その愛らしい少女を,わたしに差し出しなさい。そうすればあなたは、必ずより悪い地獄を逃れ,より良い地獄へと向かい,確かに彼女の子宮に辿り着く。」
「死の鳥(dead bird)を、渡すわけには行かない。これは僕の母なんだ。誰によっても,凌辱させるわけには行かない。」
「お客様、良く御覧になりなさい。それはダミー(サンプル)であり、本物ではありません。それは死体であり、生きてはいない。あなたの母なる本質は,そこにはありません。」
若い男は,すやすやとあどけない表情で眠る愛おしいdead birdの胸に手を当てる。
鼓動を感じられない。これは確かに生きていないようだ。しかしあたたかい。人間の体温とは,なんとあたたかく、心地好いのか。これは生きてはいないのに,どうして…。
「お客様、そのあたたかさは、死んだ(殺した)鳥を揚げて,少し冷ましたものと同じあたたかさであり、それは生きているあたたかさとはまったく違うものですよ。あなたにはまだわからないのでしょう。あなたはまだ、生きたことがないから…。」
タクシーの運転手はそう言うと契約の証として、透明な水晶でできた心臓を若い男に差し出す。
「わたしが、あなたの代わりに、これを終らせてあげましょう。そして、あなたは、生きるのです。生命を手にするのです。それは永遠に,いつまでも、存在し続ける。これが、わたしとあなたとの約束です。さあ、あなたの生命をお受けなさい。」
若い男は,最早ほかに方法はなく、仕方なく,妥協してその透明な水晶の心臓を受け取る。
その瞬間,少女は男の手に渡り,目の前の広がる光景のなかで、男は若い男に見せる。
そこには、一つの透明な水槽が四つに分けられ,その一つにはたくさんの黒ずんだ小さな手首が転がっている。
まるで人形の一つのパーツのように。
もう一つの水槽には、黒ずんだ小さな足首が幾つも容れられ、他の二つの水槽に容れられるものは自ずと予想が着く。
それは頭部と胴体であるだろう。いずれも黒ずんだ…。
そして残りの両腕と両脚は、白々と,墓碑のように灰の上に突き刺さっている。
また灰の地上をのたうつように這っているだろう。
そう想像する今,現実に,若い男の目の前で少女は醜い男から逃げ回り,そして捕まえられる。
醜い男は、取り押さえた少女の足首目掛け,小さな斧を振り下ろす。
切断された少女の足首が転がり,少女は苦痛に叫ぶ。
そして、今から先に起こるさらなる地獄,より悪い地獄を想像して絶望の表情で中空を見つめる。
見開いた白い瞼からは、今にも眼球が零れ落ちそうになっている。
僕は、僕は何をしたのだ。
若い男は,みずからに問う。
男は若い男の耳元に囁く。
「あなたはもう戻れない。あなたは生命を手にした。永遠の生命を。これからずっと、ずっと、あなたはみずから、より良い地獄か、より悪い地獄を選び取り,どちらかを経験し続けるのです。それが、生命というものなのです。生命から受けた"わたし"の報復は,永遠に終らせることはできません。それは,"わたし"に対する報復です。」
若い男の目の前で虹色に光る白蛇のような寄生虫はやがて黒い鳥の姿に変化し,最後に黄金の牡牛の姿となる。
僕は,目を覚ます。
屠殺場の冷たいコンクリートの床の上で,皮を剥がされた血まみれの切断された牛の頭が,自分の熱い血溜まりのなかで、こう囁いている。


殺したい人の数だけ,死んでゆく。
この世界では,僕が殺したい人の数だけ,地獄の底で死んでゆく。













































我が死の同志である釣崎清隆へ

自分は、わたしの表現をいくつも読んで戴けたら理解して戴けるかと願いますが、グロテスクなものが、苦手で堪らないのに、グロテスク表現、過激表現によって、人間が、自分の目覚めの力によってみずからを救いだせることを、信じて自分の表現を遣り続けています。
それはわたし自身が、2012年に見たあまりに現実的な悪夢を切っ掛けに、現実の地獄とその悪夢がリンクし、ようやく自分が此の世に真剣に救いを求めたことによって、ヴィーガンになることができて、例え自分を犠牲にしてでも此の世(全存在)の真の救いを求めて生きられるようになったからです。
そして其処に行き着くまでの自分のこれまでの人生が、如何に虚しいものであり、利己的なものであり、此の世の最大の悪(生命に対する強制的な拷問の地獄の苦痛)に加担し続けてきたかに、気づくことができたからです。
でも、誤解して貰いたくないのは、わたしが本当に遣りたいこととは、飽く迄、フィクションであるということです。
その点に於いても、現実の死体を見つめ続け、その死体を芸術作品として昇華させるべく命懸けで表現し続けながらも、本当に遣りたいことは劇映画を撮ることなのだと言った釣崎清隆氏に、わたしは深く共感を覚えています。
自分は、啓蒙的表現には、真の喜びを感じられてはいないように感じています。
これは、使命であり、抗うこともできなければ、抗う必要もないわたしの死ぬまでの、身命を賭してでも遣り遂げねばならない責務なのです。
いつでも、自分の啓蒙的表現には、不満を感じています。
そんな容易く、この問題を昇華できるはずもありません。
わたしのバイブルである我が生涯の師、町田康の「告白」のように、最も愛する存在を、みずからの手によって殺す。それを、表現し切ること。その苦しみがなくては、とてもカタルシスを生み出すことはでき得ません。
わたしの根源的訴えとは、「何故、自分自身(他者)に拷問の地獄を与え、そして殺すのか。」という問いなのです。
今日の午前3時過ぎに、わたしは初めて、自殺映像なるものを観ました。
人間が、みずからカメラに向かって自殺する、その瞬間の映像をです。
彼は、自分の顔面をショットガンで見事に吹っ飛ばし、虚しく死にました。
自分を、悲惨な方法で殺害することで、彼はすべての人間に、訴えたかったのだと感じました。
何故、自分自身(他者)を、人は殺すのか。と。
胸を撃って自殺するだけで、十分に悲惨であるはずなのに、彼はそれだけでは、きっと許せなかった。
彼は、自分の最も遣るべき、自分に相応しい方法で、自分を殺したかった。
彼がグロテスクなものが好きだったか苦手だったか、知り得ませんが、どちらにしろ、彼は最もグロテスクな死に様の一つである顔面を吹っ飛ばして死ぬという方法を選んで、自分を殺して死にました。
こんなことを、わたしが他の誰よりもあなたに向かって話すのは、あなたは既にわたしの表現のなかで、わたしが、わたしの実名で殺した、実名の、たった一人の存在だからなのかもしれません。
わたしはあなたを殺してしまった。
でも殺したのはあなたの姿を取ったわたし自身であり、わたしが殺したいのは、わたし以外には存在しません。
わたしは、自分を殺す瞬間を、確かに観ました。
今日の午前3時過ぎに。
それは、酷く既視感の在るものでした。
わたしは既に、それを知っていた為、わたしが、そのヴィジョンに、ずっとずっと、執着してきたはずだと、気付いたのです。
わたしはこれまでずっとずっと、”顔”と、”顔”がない、その状態に執着し続け、最早、わたしは自分や家族を含めるどの人の顔も、現実ではその造形を覚えることが困難になりました。
人の”顔”は、肉(肉体)によって、できているのではないのです。
眼には観えない心や、魂や、霊といったものが、眼では観えないその部分に、現れているはずのもの、それが、”顔”というものなのです。
その”顔”という、最も大切な部分が、一瞬で、吹っ飛んで、真っ赤な鮮血を滴らせ続けるばかりのただの醜い肉となったのです。
それが、わたしの顔であり、すべての人の顔であるのです。
わたしは、グロテスク表現と、過激表現を、どれほど孤立し、人を傷つけ、自分も傷つき、絶望的な孤独のなかに生き続けるとしても、死ぬまで遣り続けたいと願っています。
実際、本当に誰一人、何一つ届かないのかも知れませんが、わたしには、他に方法がありません。
わたしと、すべての顔を取り戻す、方法がないのです。

























プロフィール 1981生 ゆざえ

ユザエ

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